METZELER・SPORTEC M9 RR 【製品レビュー】

素直でクセのないタイヤ

1年点検と同時にタイヤ交換したことは以前の記事に書いたとおりだが、今回はそのタイヤの感想を書こうと思う。純正タイヤとの比較がメインとなる。

内容はあくまで素人の感想で、プロのライターによる感想と相違があるかもしれないが、おそらくそれは私の感性がおかしいと思うのでスルーしてほしい。

銘柄は、ドイツの METZELER 、SPORTEC M9 RR 。
交換後の走行距離は 1500km 以上である。

日常での使用からマン島TTまで安心して楽しめる（パクリ見出し）

交換後、新品のタイヤは滑りやすいので初めこそ気を使い慎重に走ったが、問題はそのあと。
違和感が全くない。正確には、尖り気味のタイヤであることと摩耗したタイヤからの交換だったため車高が少し上がったが、特に意識せずに走行した時のフィーリングに関しては特異な点は認められなかった。
晴れた日に軽くツーリングするくらいならば、特に意識することなく新しいタイヤを受け入れることができると思う。

タイヤのトレッドパターンは、先代の M7 RR よりもスポーティーでかっこよくなったと思う。
あと、新品の時にのみ拝める中央にあるメッツラーのゾウのマークがかわいい。

ワインディングでは、高い剛性によりコーナーでのハンドリングが良くなり、楽しく走ることができる。 Z900RS 標準装着タイヤのダンロップ GPR-300 よりもスポーツ寄りでグリップも良いと考えられるため、車体がリーンしている時でも安心して走ることができた。
また、コーナリング時の安定感も優れており、一定の角度を維持して滑らかに走行しやすいと感じた。

タイヤを履いたのは夏なので、低温時のグリップ力がどうこうというのは正直わからないが、少なくとも「走り初めは慎重に」と思う必要は特に無いのではないかと思う。

ウェット性能では、先代の『 M7 RR 』よりは溝が減っているようだがむしろ向上しているようだ。高速になるほど排水性が高まるらしい。
私自身も、ゲリラ豪雨の中や雨が去った後の濡れたワインディングも走行したが不安に思うことなく走行できたのは素晴らしいと思った。標準装着のタイヤでは、なんだか滑るような感じがして濡れた路面は大嫌いだったが、このタイヤではそれほど怖いと思う必要はないと思う。

実際の寿命に関しては流石に分からないが、普段ツーリングしかしない私が1500km程度走行した時点で、リアタイヤの中央が若干平らになったかな？なってないかも？くらいの摩耗は見られた。当然センターに掘られた薄いゾウのマークは消えている。
メーカーのホームページによると、デュアルコンパウンドにより M7 RR 比で約10％向上しているとのこと。 M7 RR の寿命などを調べてみると、およそ1万km程度で交換したという報告が多い気がするので、 M9 RR に関しても最低限それくらいは持つのだろうと思う。

近年の大型バイクには高度な電子制御が搭載されていることが多いが、それが介入してくることも考慮されているようだ。
公道ではトラクションコントロールを作動させるような激しい走りは基本できないが、案外簡単に介入するリアブレーキのABSを作動させてみようと思い、リアブレーキを強くグッと踏んでみたが M9 RR では介入してこなかった。何度か試したが同じ結果であった。
ちなみに、 GPR-300 では納車当日にリアのABSが作動して「これがABSかぁ」と感心したものである。

このタイヤは公道レースから得られたデータを基に開発され、予期せぬあらゆる環境変化に対応できるようにとのコンセプトで作られている。メッツラーの一般ユーザー向けのフラッグシップモデルといっても差し支えないと思う。
ツーリングしかしないけどその中のワインディングも楽しみたいし雨が降っても安心して走りたいという欲張りなユーザーに向いていると思うし、仮にサーキットを走る機会があったとしてもそのままのタイヤで十分に満足できるだろう。

メッツラーの親会社であるピレリが作る通称『スパコル』は、サーキットでの走行や峠を攻めまくるような使い方には最適だと思うが、雨が降った瞬間使い物にならなくなるし、熱が入っていないと滑りやすくてシビアで気を使わないといけないと聞く。
半面、SPORTEC M9 RR はかなり広い守備範囲を持ったタイヤであるため万人に勧められる。他より少し価格は張るかもしれないが、純正よりいいタイヤで楽しく走りたいと考えているなら試してみる価値は十分にあると思う。