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新型の先行公開を受けて
今回は、ホンダの CB1300 SUPER FOUR SP に乗った。
ホンダが展開するレンタルバイクサービスの『HondaGO BIKE RENTAL』で基本料金半額クーポンが配布されていたので、どうせなら大型に乗ろうとアフリカツインに乗る計画を立てていた。
しかし、申し込もうとする直前で CB1300 シリーズの次期モデルの先行公開があり、入れ替わってしまう前に乗らなければという使命感でこの車両に決めた。
前回に乗ったのがほぼ同じ姿をした CB400SF なのもあり、当分乗るつもりは無かったのだが。。
なじみ深いスタイル
多くの人が『バイク』と言われれば想像するようなデザインをしている。
灯火類はすべてLED化されてスタイルは昔から大きく変わらずとも現代にふさわしい装備となっている。
ヘッドライトは複雑な造形をしており、すりガラスのような部分ととプロジェクターのようなレンズを組み合わせたデザインをしている。
ウインカーは、他車と同じ物と思われるLEDウインカーで、ハザードも搭載。当然、ホンダの二輪定番のウインカーポジションも装備している。
ホーンはダブルホーンで、 CB400SF と比較すると太いメッキの枠がついている分高級感がある。
タンクは21Lの大容量で迫力がある。タンクにについているウイングマークは、丸型の立体エンブレムで高級感を醸し出している。
エンジンは1300ccの排気量もあってか横に大きく、少しタンクより外側にはみ出している。また、クランクケースカバーやジェネレーターカバーも横に大きく飛び出しており、転倒などした際にエンジンガード等をつけていなければ真っ先に削れるなと感じた。
エキゾーストパイプは4-2-1と集合しており、近年のバイクでは当たり前となった触媒が入った箱、所謂『お弁当箱』は見られない。触媒はパイプの中に詰め込まれているのだろうか。
豪華な足回り
フロントサスペンションは専用設計のオーリンズ製。リアサスペンションもオーリンズ製。フロントブレーキは、ブレンボ製のモノブロックキャリパーを装備している。
正立のフロントサスペンションは圧側・伸び側と左右で役割が違い、それぞれ20段の減衰調整ができる仕様だ。
リアサスペンションも20段の調節ができる。
ブレンボのブレーキキャリパーも、高い剛性を誇るラジアルマウント方式となっている。(SPではないモデルはアキシャルマウント式)
タイヤは、ブリヂストンの BATTLAX SPORT TOURING T30 を装着していた。
現行はT31になるため型落ちのタイヤになるが、T31を装着したバイクでリアは25000kmほど走ってもまだまだ溝があるという知人がいるくらい長寿命なタイヤシリーズである。
さらに後継のT32の発表もされている。
犠牲にされない利便性
車両を借り受けた際の店員さんによる車両説明でETCの説明をされた際、シート下にとんでもなく広大なスペースが広がっていることを知った。思わず「広っ」とつぶやいてしまった。耐荷重3kgという記載も確認できた。公式ページによると、容量は11L あるそうで雨合羽や防寒着はもちろん、貴重品を一時的に収納しておくのもいいかもしれない。
また、シート下の後方にはシガープラグのアクセサリーソケットが装備されていた。使い勝手は少々疑問だが、シート下に格納した電子機器の充電や電熱装備の電源取りには良いかもしれない。
ETCは2.0が標準装備されている。
アンテナがむき出しになってしまっているのは少し残念だが、インジケーターはタコメーター内に配置されている。
私は、たとえ有料道路にあまり乗らなくても二輪にこそETCをつけるべきだと思っているから標準装備は素晴らしいと思う。
グリップヒーターも標準装備されている。
驚くことに、グリップヒーターのインジケーターもメーター中央の液晶に表示される。
スイッチを入れると、5段階あるレベルのうちいくつで作動しているのかが数秒間表示され、グリップヒーターのスイッチを操作して出力を変える際もレベルが表示される。
ヘルメットロックも鍵穴のキャップ付きで装備されており、ヘルメットの装着もしやすかったが、ヘルメットをぶら下げると重心の関係でタイヤと接触してしまうことが分かった。
気にする人はあまりいないと思うが、飛び散ったチェーンルブなどが付着していることもあるためあまりいいとは言えないと思う。
おおらかな乗り味
シートに跨って足つきを確認する。見た目の大きさに割には良好だと思う。カタログスペックでは、今回乗ったオーリンズサスのSP仕様で790mm、無印で780mmとなっている。
普段、ノーマルのシート高800mmで835mmの純正ハイシートに換装したZ900RSに乗っている私としては、特に不安になることは無かった。(自慢ではない)
エンジンをかけると排気量にふさわしい野太い音が響き渡る。
アクセルを煽ってってみると、4気筒としては少し大きく感じる振動が伝わってくる。
非常に頼もしく感じた。
クラッチを切って一速に入れて発進する。
アシストスリッパ―クラッチを採用しているため操作は軽いが、油圧式に慣れていない私は半クラの位置が掴み辛く、若干違和感を感じた。しかしそれは慣れの問題だろう。油圧クラッチという豪華な装備も、所有欲を満たしてくれる要素の一つになっていると思う。
走り始めてステップに足を乗せると、 CB400SF に乗った時と同様に少し位置が高いと思った。 CB400 よりは少し低い印象ではあるが、スポーツライディングも意識した結果かシート高が低いことが理由であるだろう。
ステップの位置が高いと長距離運転した際に膝が辛くなってくるのだが、 CB1300SF ではそれがなかった。適切な位置に足を収めてしまうとものすごくしっくり来て力を抜いていられる。
CB400SF も足の収まりは良かったが試乗の後半は少し辛くなってきたのと比べると大きな違いだ。もちろん、他に要因があったのかもしれないが。
エンジンは、レッドゾーンが8600回転からと、かなり低回転寄りのエンジンである。
証拠に、回転数を意識せずにに運転したら1500回転から3000回転くらいの間ですべて済んでしまってることが分かった。
発進時は、慣れない油圧クラッチの操作でもエンストする気配はなく、この試乗では一度もなかったくらいトルク感があふれたエンジンだった。その分、あえて回してみようとアクセルをガバ開けしてもエンジンのレスポンスが悪く、回転の上昇に時間がかかる。それ故エンジンを回しても特別楽しくないので、おのずと低回転で紳士的に走ることになる。
回して楽しい CB400 とほとんど同じ見た目だが、エンジンのキャラクターはまるで別物だった。
街中では、エンジンの豊かなトルクでストップアンドゴーも苦にならない。ただ、車重があるため停車時は少し気を使わないといけない。
止まることの少ない田舎道や高速道路では、素晴らしい安定感と快適さを見せつけてくれる。これは車重のおかげだろうか。低回転時のエンジンのトルクがあるため2,000回転以下でも普通に走れてしまう。また、Z900RSでは下道でも頻繁に6速を使っているが、 CB1300 では下道で6速に入れることはほとんどなかった。普通に気持ちよく巡行しているときにメーターを見てみたら5速だったということが多かった。ほぼ車である。
ワインディングや山道では、今回ガッツリ冬装備でリュックを背負いながらの運転だったため思い切ったことはできなかったが、流石に車重があるため、コーナーをひらりひらりという表現が合う乗り方は到底できず、バンクからの立ち上がりはよっこらしょというような印象で、細かく急なカーブが連続する道を駆け抜けていくバイクではないなと思った。ただし、路面状況が良くて道幅が広くて視界も良好、カーブは緩やかという条件がそろっていればとても気持ちがよい。また、林道のような細い山道では、何度も言っているようにエンジンのトルクがあるので低速でも安心して走れた。
今回、検証としては運が良いのか悪いのか、途中で雨に打たれウェット路面を走ることになったのだが、ツーリングタイヤを装着していることもあり比較的安心して走れた。
ただ、電子制御と呼べるものがABSしか装備されていないため、一度破綻したらすぐにスリップダウンしてしまいそうな恐怖はあった。
完成された。。わけではない!
CB1300 は長い間設計やコンセプト、デザインを大きく変えずに生産されてきたため、各部のセッティングや完成度が非常に高度に熟成されている。
ただし、それは設計が古いということでもあるので搭載されている電子制御と呼べるものは前後のABSしか無い。
通常、このクラスのバイクになればトラクションコントロールなどの電子制御の搭載はかなり前から当たり前となっているので、ゴールドウイングの次点に君臨するホンダのツーリングバイクとしてはいただけないだろう。
しかし、冒頭にも述べたように2021年モデルは規制対応もありスロットルバイワイヤ化されることが発表された。エンジンが完全に電子制御化されるため、クルーズコントロールやライディングモードの選択などの機能が搭載されるそうだ。
(12/18執筆時 情報先行公開済時点の根拠のない予想)
これだけ電子制御を増やすとコンピューターの高性能化やセンサーの増設も必須となるはずだから、シート下の荷室は狭くなるかもしれない。(そうだとしても他車を圧倒すると思うが)
走行距離と燃費
走行距離:291.8km(ツーリングを想定した走行環境)
給油量:13.27L(レギュラー)
燃費:22.0km/L(WMTCモード値:16.8km/L)
今回はツーリングを想定し、街中、ワインディング、田舎道、高速道路を走行している。
街中はあまり走行していないため、燃費の面で見れば比較的好条件で試乗できたのだろうか、カタログ燃費のWMTCモード値が 16.8km/L に対して 22.0km/L という非常に優秀な結果が出た。
燃料もレギュラーのため経済的だ。
試乗車のデータ
車種:CB1300 SUPER FOUR SP
カラー:パールホークスアイブルー
車重:268kg
エンジン:1284cc , 水冷直列4気筒 , DOHC , 16バルブ
トランスミッション:6MT
最高出力:110PS (81kW)/7250rpm
最大トルク:12.0kgf・m (118N・m)/5500rpm
燃費:16.8km/L(WMTCモード値)
価格:1,885,400円(税込・記事公開時点)
その他:ETC2.0車載器、グリップヒーター、アクセサリーソケット(いずれも標準装備)
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