二輪製造メーカー世界首位のホンダが製造開発する原付2種クラスの電動バイク、 PCX ELECTRIC のモニターに選ばれましたので、Twitter で語りきれない部分も含めてレビューをしていきます。
3つに分けて公開し、この記事ではこの車両単体で。中編ではガソリンエンジンモデルとハイブリッドモデルとの比較。後編では、モニター期間を終えての総括をしたいと思います。
デザイン、特にボディは通常の PCX / PCX HYBRID (以降、ガソリンエンジン搭載モデル)と大差はありませんが、ハイブリッドモデルと同じ位置に『ELECTRIC』の専用エンブレムが装着され、ヘッドライト上部と足元、リアカウルの『PCX』のロゴが青色で装飾されています。リアフェンダーは、ホイールベースがガソリンエンジン搭載モデルより 65mm 伸びている関係で、スイングアームから固定されているタイプに変更されています。また、当然ですがエンジンとトランスミッション、マフラーの代わりにモーターが配置されているためリアタイヤ周りがすっきりしています。
シート下には、一つ 10kg あるバッテリーが2つセットされているため、ヘルメットなど入るはずがありません。せいぜい書類くらいですかね。
モーターは交流同期電動式で、最高出力 5.7 馬力、最大トルク 1.8kgf・m です。
ちなみに、同クラスの PCX(125cc) は最高出力 12 馬力、最大トルク 1.2kgf・m ですので、パワーでは半分以下で劣っていますがトルクで勝っています。
トルクに関しては、自動車専用道路も走れる 150cc モデルの PCX よりも勝っています。
モーターの特性上、動き出してすぐに最大トルクが発生するため、エンジンとトランスミッションを組み合わせた動力源の車両とは違った加速感があります。
ただ、パワーがあるわけではないので実際のところどれほどの違いがあるのかは分かりませんが、30km/hくらいまでは非常に気持ちよく加速する印象です。センタースタンドを立ててアクセルを全開にすると、 74km/h あたりで動力が強制的にカットされます。そのため、 60km/h 以上で流れているような幹線道路では少しきつく、メーター読みでは72km/h が最高速度でした。
気になる航続距離ですが、メーカーの公称値(41km)がほぼ出ていると思います。
充電時間は、私自身が実際に検証はしていませんが、カタログ上では本体のコードからの充電で空から満充電まで6時間、専用充電器を使用してバッテリー一つ当たり4時間となっています。
この程度の航続距離で、これだけかかるエネルギーの補充時間なら、通勤や買い物などの日常の足としては十分に使用できますが、休日のお出かけやツーリングに使うとなると実用上不可能だと思います。
充電は、車体に収納されているコードをコンセントにさして直接充電する方法とバッテリーを取り外して専用充電器で充電する方法の2種類が用意されています。前者は、ガソリンエンジン搭載モデルだと給油口があるところに収納されているため、そこから届くところに 100V がある必要があります。後者では、オプションである専用充電器を室内に用意し、1つ 10kg あるバッテリーを2つ家まで持ち運ばなければなりません。
↑収納されたコード
↑バッテリーは2つ搭載
↑ロック解除(右側)
↑一つ取り外し
↑二つ取り外し
現行の PCX シリーズやスーパーカブ C125 、フォルツァ、 X-ADV 、ゴールドウイングに装備されている Honda SMART Key システムが、 PCX ELECTRIC にも装備されています。機能は、アンサーバック、電波切断とガソリンエンジン搭載モデルと同様の機能に加えて、セキュリティーアラームも搭載されています。
走りや乗り心地については、 PCX シリーズの中で最も重い車重(144kg)でホイールベースが延長されているため横風にも強くかなり安定していると思います。しかし、 40~50km/h 台くらいでは、ハンドルをしっかり握っていないと、ハンドルが左右にガタガタしてしまう現象を確認しています。また、 30~40km/h 台くらいの速度域で巡行していると、特にきれいな舗装の道路で小さなギャップを拾うといつまでも上下にゆらゆらゆれています。(クロスカブで同じ道路を同じように走行しても感じることはありません。)
車両前方に、大きなウインドシールドがあるわけではありませんが、カウル形状が洗練されているからか高速巡行中でもヘルメットにあたる風は均一にならされ、横風等の乱れた気流がない限りバタつき感を感じることはほとんどありません。
走行音は、電動車なので当然ですが非常に静かです。走りだすと、『ヒュイーン』と鳴るモーターの作動音が未来感を感じます。
標準装備のタイヤであるミシュラン製の CITY GRIP は溝が多くて深いため、メーカーのセールス通り雨天時の走行でも安心感が非常に高いです。フロントに ABS を装備しているため、も大いに貢献しています。
田んぼや畑の脇の未舗装路も走行しましたが、ここの走破性というか安定感安心感は、やはりカブに軍配が上がると思います。電動車とはいえ、トラクションコントロールが搭載されているわけでは無いため、アクセルを開けすぎると強大なトルクですぐに後輪が滑り始めます。しかし、カブとは違い ABS が搭載されているため、ブレーキング時は雨天走行時と同じく安心感が非常に高いです。
シートは、このクラスのスクーターとしては標準的なものだと思いますが、少し硬めに感じます。そのため、長時間の乗車は少し厳しいかと思います。まぁ、PCX ELECTRIC に関しては航続距離が 40㎞しかありませんので、連続乗車時間はどんなに長くても2時間程度だと思うので問題ないかと思いますが。身長 176cm の私にとっては、足の置き場とタンデムエリアとの境のおしりが当たる段差の距離感が微妙に近く、少し窮屈に感じます。
今回はここまでとし、後編で1000km以上乗って気づいたことなどを紹介します。
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